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2024.04.01
【漢方通信4月号】ダイエットの漢方、ホントを知りたいあなたに…

 3月末から寒さが戻っているため、4月上旬は寒い春となりそうですが、時は確実に流れ、暦上5月5日(端午の節句)から季節は夏に入ります。春風が吹けば、冬衣装を脱ぎ、薄手の春衣装に変わります。この時期から、「ダイエット」の店頭相談が増えます。一心堂薬局各店では、痩せたいと思う切実な気持ちに寄り添い、対応したいと思っています。しかし、無理なダイエットで健康状態を崩してしまう状況は望みません。

漢方薬の防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)のテレビCMが、繰り返し放映されています。脂肪が燃えるイメージ映像が、印象的です。「ダイエット薬、防風通聖散を使いたい」の要望をいただいたとき、2つのことに注意しています。まず最初に、患者様を見て「元気のない状態(外観と行動と声)」を探します。「お通じが順調あること」も、追加で確認します。元気がなくて、お通じも順調なら(下痢気味や軟便傾向を含む)、防風通聖散は身体に合いません。その理由を説明し、基礎代謝を上げる漢方メソッドをご提示します。もうひとつは、「食欲が止められない」の状況ではないか確認します。食欲過亢進は止められないとされますが、漢方では対応法があります。黄連解毒湯で胃をクールダウンすれば、食欲が抑えられます(頓服薬)。食欲が早期に止められるなら、防風通聖散は使う必要がないでしょう。

ダイエット薬として知られる防風通聖散の、薬効を知ってください。主薬効は「下痢をさせること」、生薬のダイオウ(大黄)とボウショウ(芒硝)が強く下痢させます。つぎは「尿を出させること」、生薬のセッコウ(石膏)とマオウ(麻黄)が尿を出しやすくさせます。つまり防風通聖散は、身体の大掃除薬なのです。便秘傾向やむくみを示し、体循環が著しく悪いかたに、短期間で消化管の大掃除をする薬と理解してください。健康になるための、体調改善薬として用いる価値のあるものです。下痢をさせ、尿を出させ、もとはそうだったはずの、健康でつややかな肌の状況を取り戻します。2週間~1ヶ月程服用すればキロ単位で痩せ、健康状態が取り戻せるはずです。健康状態に戻ったら、服用を続けても、痩せることはないでしょう。長く続ける薬ではなく、せいぜい1ヶ月程(~2ヶ月)の使用に留めてください。40℃程の温湯で、食間に服用するのが良いでしょう。服用すると強い腹痛が続くのなら、用いるのは止めてください。「どの生薬が、脂肪を燃やすのだろう」と、問われることがあります。残念ですが体内脂肪を激しく燃やす生薬は知らないのですが、あえて選ぶのなら、温性の発汗薬である生薬・ケイガイ(芥)とボウフウ(防風)が、わずかにその方向へと導くものでしょう。

大柴胡湯(だいさいこと)は、抗ストレス薬そのもので、強い感情の高ぶりを抑えます。これも、ダイオウを配合し便通をつける処方です。服薬し気持ちが落ち着いたら服用を止める頓服薬で、3日程(~5日)の短期服用が基本です。防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、前述の2薬と異なり、便の排出薬ではありません。尿を排出させ「水太り」に効果のあるものです。50℃ほどのやや熱いお湯で服用されると、尿の出が良く、早く改善するでしょう。これは、1カ月程の継続服用も可能です。

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