2023.11.01
【漢方通信11月号】漢方で改善する/秋冬の「血圧上昇」と「肌のかゆみ」

 酷暑のなごりもようやく消えて、10月末から、指先に寒さを感じる気候になりました。この時期、「血圧を計ったら、思った以上に高い数値が出た…」と、心配顔で来店されるかたがあります。寒さで血管が収縮し、その状況下で生命を守るため、身体は血圧を上げているのです。自然な生体反応ですが、加齢でそれが起きやすいとも言えるでしょう。現代医療では血圧の数値が規定され、診察室での測定で140/90mmHg以上、家庭測定で135/85mmHg以上で高血圧と診断されます。

「めまいがしたので血圧を計ったら、思うより高かったので心配になった…」と訴える女性に、血流を促進することで血圧を落ち着かせる、漢方薬・折衝飲(せっしょういん)のエキス剤を服用してもらいました。補血作用のトウキに、活血作用のトウニン・コウカを配合した、現代人の血流改善に良い薬です。服用2日で、最高血圧が120台に落ち(家庭での測定)、まずはホッと安心しました。食間に温湯で服用すること、1ヶ月程は継続服用して欲しいと伝えました。興味深かったのは、血圧が下がり始めた頃、尿が多く出たと伝えられたことです。血流改善により、それまで意識していなかった浮腫(むくみ)が、尿となって排出され、浮腫改善がなされたのだろうと考えます。

同じ血圧上昇でも、ストレス過大の状況で、イライラしがち・情緒不安定があるのなら対応薬を変え、抗ストレス薬・柴胡疏肝散(さいこそかんさん)や、加味逍遙散(かみしょうようさん)を用います。これで体内循環を改善し、血圧を抑える治療とします。抗ストレス薬も、状況を見ながらですが、1カ月程の継続服用が良いものです。ストレス状況であるなら、折衝飲などの血流促進薬を併用しなくても良いと考えます。

 

もうひとつ、寒さが感じられるようになる頃には、肌表面が急にカサカサと乾燥し、「肌のかゆみ」が繰り返し現れます。かゆみが起きるのは、ふくらはぎ・二の腕(上腕)などが多いものです。無意識に指爪でかくため、白い筋が残ることもあります。かゆみが反復するので困惑する状況、毎年このかゆみに悩まされているのかも知れません。これもまた、寒さによる血寒収縮が引きがねになり、起きているものです。

こんなとき、漢方薬・当帰飲子(とうきいんし)を1週間ほど継続服用してください。食間に、温湯で配合します。この漢方薬は、血行促進に働く四物湯(しもつとう)に、かゆみ止め生薬(祛風薬)を加えたもの。服用すれば早期に、かゆみ改善の実感が得られるでしょう。この場合、「毎日入浴する」「かゆみの出やすい部位をマッサージする」などの方法もとりながら、かゆみ対応としてください。

 寒さが強まる冬は、様々な不調が起きるものです。「痛み(神経痛、関節痛、片頭痛、腹痛など)」「夜間尿」「冷え症」「しもやけ」「カゼによるセキ・ノド不調」など。漢方対応が良いものがあります、服薬と生活習慣の改善により、早期に笑顔を取り戻してください。

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