2024.06.16
【論文解説】糖尿病に関する漢方薬の効果

 

昨今、漢方薬の臨床研究が盛んにすすめられています

漢方薬はその特性上(多成分系、証という独特の診断法をとる)

から臨床研究は難航を極めます

 

その一方、西洋医学の分野では漢方薬の処方が増加しており

臨床研究による統計学的手法を使った効果の立証が急務となっております

本日は「牛車腎気丸」の糖尿病に対する臨床研究についてご紹介します

 

【内服する漢方薬】

 

牛車腎気丸  1 回 2.5 g を 1 日 3 回内服

 

【試験条件】

 

40-75 歳で HbA1c 6.5 %以上の 2 型糖尿病患者

重篤な既往歴を持っおらず

牛車腎気丸の使用に適した体質を有する者

人数 149 名

 

結果

 

牛車腎気丸は糖尿病患者の神経障害の診断方法

の一つであるアキレス腱反射の悪化を抑制する

 

〈黒色〉牛車腎気丸を服用した場合。

〈灰色〉服用なしの場合

 

縦軸:アキレス腱反射が悪化した人の割合(%)

横軸:時間(月)

※神経障害が生じるとアキレス腱反射の減弱・消失がみられるので

神経障害のある程度の判断基準として使われることが多いです

 

 

上の図からお分かりのように牛車腎気丸は糖尿病で合併しやすい神経障害の

診断方法の一つであるアキレス腱反射の悪化を抑制することがわかりました

特筆すべきは服用期間が伸びる程、その差はより顕著になっていることです

 

いわゆる神経症障害を腎虚ととらえると(語弊を含みますが)

の改善は時間がかかると昔から言われてきましたが、その経験と一致しています。

 

長期的な牛車腎気丸の服用はHbA1cを低下させ

 

〈黒色〉牛車腎気丸を服用した場合

〈灰色〉服用なしの場合

縦軸:HbA1c(%)

横軸:時間(月)

※HbA1cは過去2-3ヶ月の血糖調節を示す値です

 

 

牛車腎気丸の効果は服用から4年と半年後に効果に関して有意差がついております

 

これは驚くべきことで

古来より牛車腎気丸のような東洋医学的に「腎」を補う漢方薬は根気強い治療と服用が必要で、

漢方薬が徐々に身体になじんでいくことで後から薬効を実感できるものといわれてきました

 

このような臨床試験という形でも漢方薬の効果が科学的に立証されたことは

とても感慨深く、そして意義深いことです。

 

まとめ

 

以上の結果から

糖尿病疾患をお持ちで牛車腎気丸の使用が目標となる方の治療方針として

 

「西洋医学は即効性のある薬として病状の進行、合併症予防」

「東洋医学は遅効性の根本治療、合併症予防」

として両者を併用することで、より質の高い治療に

繋がる可能性が示唆されたのではないでしょうか

 

今後さらなる研究による解明が期待されます。

 

参考文献:Watanabe K, Shimada A, Miyaki K, et al. Long-term effects of goshajinkigan in prevention

of diabetic complications: A randomized open-labeled clinical trial. Evidence-Based Complementary

and Alternative Medicine 2014: 1-8. doi: 10.1155/2014/128726. CENTRAL ID: CN-00993596, Pubmed ID: 24812564

 

自分で症状や体質に合った漢方薬を選ぶのが難しい方、 体質改善や自然治癒力の向上といった

日頃の健康維持目的で取り入れたい方など ぜひ一度ご相談くださいませ。

 

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